シッシー君の文化財探訪日記 2024年1月
川崎市内の豊かな歴史や魅力を物語る文化財や博物館等の情報を、川崎市文化財キャラクターのシッシーくんがご紹介します。
市域3か所に伝わる獅子舞から生まれた文化財の精。川崎市の文化財保護推進キャラクター。
性格はおっちょこワイルド。好物はかわさき育ちの野菜・果物。口癖は「シッシッシー」。
能登半島地震や火事等の被害にあわれた方へ、お見舞い申し上げます。
新年には、その年の無病息災や五穀豊穣を祈る行事がたくさん行われており、いくつかにボクもお邪魔しましたので、その様子をお知らせします。
2024年1月8日 中丸子神明大神のオビシャ
中原区中丸子の中丸子神明大神では、川崎市地域文化財として顕彰されている「中丸子のおびしゃ」が行われました。
この行事は「シメヨリ行事」と言われる注連縄を作る行事で、現在は「おびしゃ保存会」を中心に実施されています。
この行事は江戸時代中期に始まったとされており、昔は作った注連縄を担いで集落内を練り歩き、その後注連縄を参道のシメギに飾り付けたそうです。
最近では、注連縄(しめなわ)を作ったあと、神社境内を練り歩き、神明大神の拝殿と御神木に飾り付けています。
注連縄を作るには、基本になる縄を作るため、「ヤリ」と呼ばれる稲わらの束を作ります。
おびしゃが始まると、まずこの「ヤリ」づくりのため、藁の長さをそろえ、ハカマをとるなど、藁束をととのえる作業をみんなで行います。
その後、「ヤリ」を作るひと、注連縄を固定するための細縄を撚る人、注連縄の元になる太い縄を作るひとなどに分かれて作業を進めます。
ヤリを差し込み、紐で縛りながら、長くて太い縄を作ります。縄は6本つくり、3本づつ撚り合わせて2本の注連縄をつくります。
しっかりヤリをさし込むこと、紐をきつく縛ることが大事だそうです。
ボクもヤリを作らせてもらいましたが、なかなか難しかったシー。
それぞれの縄を左回りにねじりながら、2本の縄を右方向に撚っていきます。
太くて長いため、大人数で声を掛け合いながら注連縄を撚ります。
長くて太い注連縄は、雄シメと呼ばれ、拝殿に飾られます。
雄シメより少し短い注連縄は雌シメと呼ばれ、境内の御神木に飾られます。
出来上がった注連縄を梯子に載せ、神事を行います。
注連縄は龍に見立られているので、前後に足を2本づつ取り付けられています。
神事の後は、梯子ごと注連縄を担ぎ、境内を練り歩きます。
大勢の人で力を合わせ注連縄を撚り、飾り付けることで、地域の安寧を願いました。
中丸子の皆様、飛び入り参加させていただき、ありがとうございました!
2024年1月9日 子之神社のおまとまつり
多摩区菅の子之神社で行われた「おまとまつり」にお邪魔しました。
五穀豊穣や無病息災を願う行事で、鎌倉時代に始まったと伝わっています。
江戸時代の地誌『新編武蔵風土記稿』にも菅村の歩射について記載があり、江戸時代の行事の様子についても文献から読み取ることができる伝統行事です。
午前9時ごろには、正月飾りを燃やすどんど焼きや、参拝者に振る舞う甘酒の準備が行われていました。境内横の斜面側ではおまとの的を設置するため、竹竿を固定する作業も。皆さん慣れた手つきで準備していました。
地元の方手作りの弓矢や的は、神事が行われる拝殿に運び込まれ神前に供えられます。
午前10時から子之神社の拝殿で祈年祭が始まりました。神前には的と弓矢のほかに鏡餅やお神酒、野菜なども供えられていました。
約30分の神事を終えると、神前に供えていた的を準備した竹竿に取り付け、神官2人が矢を射ます。的の裏には「鬼」と書かれた和紙が貼ってあり、それを射抜くことで災厄を祓うとされています。
神官に続いて氏子総代をはじめとした関係者が矢を射ると、一般の参拝者も矢を射ることができるとのこと!見事に的を射抜くと、歓声があがりました。(こちらの獅子はシッシー君ではありません。)
ということでボクと一緒に参加した文化財課職員が挑戦!狙いを定め、地元の皆さんにたくさんアドバイスをいただくも……残念ながら的に当てることはできず、難しかったみたいです。
地域の皆で豊作と安寧を祈るおまとまつり。弓矢の腕を磨いて、来年も参加したいっシー☆彡
お問い合わせ先
川崎市 教育委員会事務局生涯学習部文化財課
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