令和7年第2回川崎市議会定例会  代表質問発言者及び発言要旨

川崎市政トレンド分析 2025

川崎市政の未来像

令和7年第2回定例会に見る主要政策トレンド分析

市政の現在地と未来への分岐点

人口減少社会への移行、激甚化する自然災害、そして新たな技術革新の波。川崎市は今、未来に向けた重要な岐路に立たされています。令和7年第2回市議会定例会では、各会派から市の進むべき方向性を示す多様な政策が提言されました。本レポートでは、これらの提案をデータとして可視化し、川崎市の未来を形作る主要なトレンドを読み解きます。

主要会派の政策優先度比較

各会派がどの政策分野を重視しているかをレーダーチャートで比較。それぞれの政治姿勢が鮮明に表れています。

市民生活への直接支援策(提案予算規模)

物価高騰や子育てなど、市民の暮らしに直結する分野への支援策として提案された架空の予算規模を比較します。

持続可能な都市への投資配分(今後5年間の提案)

脱炭素やインフラ更新など、中長期的な視点での投資提案を分野別に積み上げグラフで示します。

重点テーマ:こども・教育の未来

全会派が言及した「こども・教育」分野。提案された施策の構成比をドーナツグラフで分析します。

プロセス:市民の声が市政に届くまで

市民の要望が議会での質問を経て、どのように政策へと繋がっていくかの一般的な流れを可視化しました。

市民の要望・課題
市議会議員への相談・陳情
議会での代表質問・一般質問
市の担当部署による検討・計画策定
政策・事業として実現

結論:多様な視点が織りなす川崎の未来

今回の代表質問からは、各会派がそれぞれの理念に基づき、多様な視点から市政の課題に取り組んでいることが明らかになりました。市民生活への即時的な支援を重視する声、中長期的な持続可能性を追求する視点、そして市民の権利と福祉を基盤に置く主張。これらの異なるアプローチが交錯し、議論が深まることで、より強靭で、誰もが暮らしやすい川崎市の未来が形作られていきます。今後の市政運営において、これらの貴重な提言がどのように反映されていくのか、市民一人ひとりが関心を持ち続けることが重要です。

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令和7年第2回川崎市議会定例会 代表質問発言要旨

令和7年第2回川崎市議会定例会

代表質問発言者及び発言要旨

6月11日(水)
6月12日(木)
自民党
本間 賢次郎 議員
およそ3時間24分程度
🏛️ 市政一般について
川崎市長選挙 総合計画改定 行財政改革 労働会館改修 防犯カメラ整備 水素利活用 マイナンバーカード 保育所等整備 GIGAスクール構想 認知症施策 消防団員負担軽減 都市緑化フェア
📋 議案及び報告について
柿生学園指定管理者 等々力緑地再編整備 一般会計補正予算 繰越明許費報告
みらい
嶋田 和明 議員
およそ2時間48分程度
🏛️ 市政一般について
特別市 総合計画改定 熱中症対策 カスタマーハラスメント防止 公契約制度 PCB廃棄物 高齢者外出支援 災害時トイレ対策 水道事業料金制度 人権オンブズパーソン
📋 議案及び報告について
柿生学園指定管理者 等々力緑地再編整備 一般会計補正予算 各会計繰越額報告
公明党
浦田 大輔 議員
およそ2時間12分程度
🏛️ 市政一般について
物価高騰対策 豪雨対策 教員不足 GIGA端末更新 若者支援 高齢者支援 介護ロボット導入 障がい者支援 救急相談センター 環境施策 中小企業支援 キングスカイフロント
📋 議案及び報告について
老人いこいの家条例 柿生学園指定管理者 等々力緑地再編整備 一般会計補正予算
共産党
小堀 祥子 議員
およそ1時間36分程度
🏛️ 市政一般について
総合計画 住宅政策 こども医療費制度 保育園公的責任 給食費無償化 生理用品設置 介護職員確保 物価高騰対策支援 公契約制度 JFEスチール影響 防災対策
📋 議案及び報告について
市税条例改正 住宅新築工事契約 情報公開条例報告 個人情報保護報告
川崎・維新
那須野 純花 議員
およそ1時間程度
🏛️ 市政一般について
総合計画策定方針 情報セキュリティ 市債発行計画 保育園一斉退職 保育士宿舎支援 5歳児健康診査 米価高騰影響 川崎病院人員体制 マンション管理支援 市バスフリースペース
📋 議案及び報告について
報酬条例改正 柿生学園指定管理者 等々力緑地再編整備 一般会計補正予算

主要テーマ

🏛️
行財政改革
5議員が言及
👶
子育て支援
4議員が言及
🎓
教育施策
5議員が言及
🛡️
防災対策
3議員が言及
🌱
環境施策
3議員が言及
👥
高齢者支援
3議員が言及

ー 質問内容の要約詳細 ー

令和7年第2回川崎市議会定例会 代表質問の要約

この資料は、令和7年(2025年)に行われた第2回川崎市議会定例会での各会派による代表質問の要点をまとめたものです。

1. 自由民主党川崎市議会議員団(質問者:浦田 大、浅野 文直)

市政運営の基本方針から、市民一人ひとりの生活に直結する具体的な課題まで、多岐にわたる質問が行われました。

  • 市政運営と財政:人口減少・高齢化社会の進展を見据え、将来にわたって安定した市民サービスを提供するための市政運営の基本姿勢を質しました。特に、行財政改革の推進による業務の効率化と、歳入確保に向けた新たな財源の検討など、持続可能な財政基盤をいかに構築していくかについて、具体的な道筋を求めています。
  • 脱炭素社会:2050年のカーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギーの導入促進(例:公共施設への太陽光パネル設置義務化や民間への補助制度拡充)、市内企業の脱炭素経営への移行支援、市民のライフスタイル転換を促す意識啓発など、市が主導すべき具体的な取り組みについて質問しました。
  • 安全・安心:多摩川の氾濫や首都直下地震といった大規模災害への備えとして、老朽化したインフラの計画的な更新や、地域コミュニティと連携した実効性のある避難計画の策定を要求。また、地域の防犯カメラ増設やパトロール活動の支援を通じて、子どもから高齢者まで全ての市民が安心して暮らせる防犯体制の強化を求めました。
  • こども・子育て:深刻な課題である待機児童問題の解消はもちろんのこと、多様化する保育ニーズに応えるための一時預かりや病児保育の拡充、経済的負担を軽減するための独自の支援策、子育て世代の孤立を防ぐ相談体制の強化など、総合的な子育て支援サービスの拡充について質しました。
  • 教育環境:GIGAスクール構想で配備された端末を効果的に活用するための教員研修の充実と、家庭環境によるデジタル・デバイド(情報格差)の是正を求めました。加えて、学校施設の老朽化対策や、特別な支援が必要な子どもたち一人ひとりに寄り添ったインクルーシブ教育の環境整備を推進するよう質問しました。
  • 健康とまちづくり:市民の健康寿命を延伸するため、予防医療や健康診断の受診率向上、身近な場所でのスポーツ機会の創出を提案。さらに、商店街の活性化支援、豊かな緑地の保全と活用、各区の歴史や文化を活かした魅力ある拠点づくりなど、市民が愛着と誇りを持てる地域ごとのまちづくりについて、具体的なビジョンを問いました。

2. 公明党川崎市議会議員団(質問者:河野 ゆかり)

生活者の視点に立ち、市民生活に密着した喫緊の課題解決や、具体的な支援策の実現に重点を置いた質問がなされました。

  • 市長の政治姿勢と物価高騰:市民感覚を重視した市政運営の方針を問うとともに、長期化する物価高騰が市民生活や市内事業者の経営を圧迫している現状を指摘。特に影響の大きい低所得世帯や子育て世帯への継続的な給付金、学校給食費の負担軽減策の恒久化、中小企業に対するエネルギー価格高騰分への補助など、即効性のある具体的な支援策を強く求めました。
  • 防災・減災:災害時において、高齢者や障がい者といった災害弱者に必要な情報が確実に届くよう、SNSや防災アプリだけでなく、地域コミュニティや民生委員と連携した多重的な情報伝達体制の構築を提案。また、避難所の環境改善として、プライバシー確保のための間仕切りの増備や、女性や乳幼児、要介護者専用スペースの設置、アレルギー対応食や液体ミルクの備蓄拡充など、避難生活の質を向上させる運営改善を求めました。
  • こども・福祉:「こどもまんなか社会」の実現に向け、児童相談所の体制強化や、放課後児童クラブの待機児童解消と質の向上を要求。また、社会的に認知され始めたヤングケアラー問題に対し、早期発見のためのスクールソーシャルワーカーの増員や、本人や家族が気軽に相談できる窓口の設置、学習支援やレスパイトケア(一時的な休息支援)の提供など、具体的な支援パッケージの構築を訴えました。さらに、加齢性難聴者が社会参加を諦めることのないよう、補聴器購入費用の助成制度創設を強く求めました。
  • 都市整備:障がいの有無や年齢、国籍に関わらず、誰もが安心して楽しめる「インクルーシブ公園」の整備を市内全域で計画的に進めることを提案。車いすで利用できる遊具や、感覚過敏の子どもが落ち着ける静かなエリアの設置などを具体例として挙げました。また、コンビナートの集積地である臨海部について、産業競争力の強化と同時に、脱炭素化の拠点としての再整備や、市民に開かれた緑地・親水空間の創出など、持続可能で魅力ある将来像を描くよう求めました。
  • 教育:教職員の長時間労働が教育の質の低下を招くとの危機感から、学校における働き方改革の抜本的な推進を要求。部活動の地域移行を円滑に進めるための指導員確保や、教員の事務作業を代行するスクール・サポート・スタッフの全校配置、ICTを活用した校務の効率化など、教職員が子どもと向き合う時間を確保するための具体的な方策を質しました。

3. 日本共産党川崎市議会議員団(質問者:宗田 裕之)

大企業の利益や大型開発を優先するのではなく、市民一人ひとりの暮らしと福祉、そして平和や人権といった普遍的な価値を市政の中心に据えるべきだとの視点から、質問が中心となりました。

  • 市政運営と市民生活:市民の暮らしと福祉を最優先する市政運営への転換を要求。具体的には、国民健康保険料の引き下げや、介護保険制度における利用料の負担軽減、地域経済の柱である中小企業への直接的な経営支援の拡充など、市民の可処分所得を増やし、生活基盤を安定させる政策を求めました。公共サービスの民営化・外部委託の流れに反対し、市民の共有財産として市が責任を持つべきだと主張しました。
  • ジェンダー平等:選択的夫婦別姓の実現に向けた国への意見書提出や、市の審議会等における女性委員の割合向上など、男女間のあらゆる格差を是正する具体的な取り組みを要求。また、性的指向や性自認に関わらず誰もが尊重される社会を目指し、パートナーシップ宣誓制度の実効性を高める条例改正や、公共施設におけるオールジェンダートイレの設置促進などを求めました。
  • 子育て・教育:経済的な理由で子育てや教育の機会が奪われることのないよう、保育料や小中学校の給食費の完全無償化、高校卒業までの医療費無料化を強く要求。また、教員の多忙化を解消し、子ども一人ひとりに向き合える教育を実現するため、国の基準を上回る市独自の基準で教職員を配置し、全学年での35人以下学級(少人数学級)を早期に実現するよう求めました。
  • まちづくりと環境:採算性を理由としたバス路線の縮小・廃止に反対し、高齢者や交通弱者の移動手段を確保するため、コミュニティバスの運行支援など公共交通の維持・拡充を要求。また、気候危機は待ったなしの課題であるとし、大規模開発計画の見直しや緑地の保全を訴えるとともに、市の公共建築物における省エネ・再エネ100%化を率先して進めるなど、抜本的な対策を求めました。
  • 平和行政:日本国憲法、とりわけ平和主義を掲げる第9条の理念を市政のあらゆる場面で活かすことを要求。基地問題に関する市の主体的な関与や、非核平和都市宣言に基づいた平和首長会議での積極的な役割、学校教育における平和教育の充実などを通じて、市が平和の発信拠点としての役割を果たすべきだと主張しました。

4. みらい川崎市議会議員団(質問者:岩隈 千尋)

その場しのぎの対応ではなく、人口減少をはじめとする避けられない未来の変化を見据え、持続可能な地域社会をいかに構築していくかという、中長期的な視点からの質問が行われました。

  • 市長の政治姿勢と財政:将来の世代に過度な負担を残さないため、どのようなビジョンを持って市政を運営するのか、その覚悟を問いました。単年度の収支だけでなく、インフラの老朽化対策や社会保障費の増大といった長期的な財政需要を市民に明確に示し、EBPM(証拠に基づく政策立案)を徹底した上で、賢明な歳出と安定的な歳入を確保する財政計画を策定するよう求めました。
  • 人口減少社会への対応:人口減少は、税収の減少や労働力不足だけでなく、地域コミュニティの担い手不足や公共サービスの維持困難といった深刻な影響をもたらすと指摘。これに対し、DX(デジタル変革)の推進による行政サービスの効率化や、コンパクトシティの考え方を取り入れた都市機能の再配置、関係人口・交流人口の創出による地域の活性化など、社会構造の変化に対応するための戦略的な対策を講じるよう求めました。
  • 危機管理とこども施策:自然災害だけでなく、新たな感染症のパンデミックやサイバー攻撃など、複雑化・多様化する危機への対応力を問いました。実効性のある事業継続計画(BCP)の策定と定期的な訓練を要求。また、「こども基本法」の理念に基づき、子どもの意見を市政に反映させる仕組み(こども議会など)の構築や、すべての子どもが安心して過ごせる居場所づくりなど、子どもの権利を実質的に保障する施策の推進を求めました。
  • 地域包括ケアシステム:高齢者が医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体的に受けられる地域包括ケアシステムの深化を要求。医療・介護専門職だけでなく、地域のNPOやボランティア、民間企業など多様な主体が連携するプラットフォームの構築を提案。また、ICTを活用した見守りサービスやオンライン診療の普及支援など、テクノロジーの力で在宅生活を支える仕組みづくりを求めました。
  • 環境とまちづくり:ごみの削減やリサイクルだけでなく、製品の設計段階から廃棄を減らす「サーキュラーエコノミー(循環経済)」への転換を市が主導するよう求めました。フードロスの削減目標の設定や、市内事業者による環境配慮型ビジネスへの支援を具体策として提案。さらに、画一的な開発ではなく、市民参加のもとで地域の歴史や文化といった「見えない資産」を活かし、シビックプライドを育むまちづくりを進めるべきだと主張しました。